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赤堀栄養専門学校

赤堀は、家庭料理をベースに食の専門家を育てる厚生労働省指定の専門学校です。

給食サービス会社のベテラン栄養士

病院や学校、企業と契約して、食堂などの集団調理の現場を管理・運営する会社があります。レストランと同じく、食事の提供が主な仕事ですが、限られた人を対象にしているため、その活動が一般消費者の目に止まることは少ないかもしれません。しかし、給食サービス会社は、例年、たくさんの栄養士や調理師を採用。赤堀の卒業生の活躍の場となっています。長年にわたって給食サービス会社に勤務する、ベテラン栄養士を訪ねました。

井澤 三十二さん

井澤 三十二さん
1977年栄養士科卒業

給食サービス会社・ジャパンウェルネス且ミ員。同社の前身・社団法人日本給食指導協会の奨学生として赤堀栄養専門学校栄養士科に入学。1977年に卒業後、一貫して同社に勤務。現在は、大田区、港区などの社員食堂を統括するエリアマネージャーを務めている。

契約企業と食堂の利用者、
どちらも大切なお客様です。

 ジャパンウェルネスは、企業や病院、学校などと契約してその給食を担当する、委託給食サービスの会社です。社員食堂のことを、会社が経営する食堂だと思っている人もいるようですが、実は、ジャパンウェルネスのような給食業者が、企業と契約して栄養士や調理師を派遣しているケースがほとんどなのです。
 もちろん、毎日のメニューを決めるのも私たちの役割です。仕入れる食材の価格や季節を考慮しながら、食堂を利用してくださるみなさんのニーズに耳を傾けて、飽きのこないメニューラインナップを工夫しています。また私たちには、食堂の利用者のほかに、契約企業というもうひとりのお客さまがいます。社員食堂は、会社が社員に提供する福利厚生事業の一環です。私たちは、その社員向けサービスの一端を担っているわけです。いつも、社員のみなさんに活力を提供する、そんな食堂になるように心がけています。

働きながら学んだ赤堀の2年間。
実験や実習の授業が楽しかった。

 赤堀栄養専門学校には、高校を卒業して1年後に進学しました。進学費用を稼ごうと、地元のレストランに勤めていたときに、栄養士の志望者に、その修学費用を提供する奨学金制度の募集広告を新聞で見つけて応募。募集主はジャパンウェルネスの前身である社団法人日本給食指導協会でした。採用されて上京。入学したのが赤堀です。
 当時、正直言って、栄養士が何なのか、よく分かっていませんでした。「白衣を着て、栄養素を分析する人」といった程度の知識だったと思います。栄養士の仕事については、赤堀で勉強しながら理解していったという感じです。
 学生といっても指導協会の職員でもあるわけです。早朝、まずは協会が運営する社員食堂に出勤して調理補助として働き、そのあとで赤堀に通学。授業が終わると、また食堂に行って働きました。結構忙しい2年間でした。でも、おかげで調理技術がどんどん身について、実習で苦労することはありませんでした。
 いろんな実習や実験を体験できたことが、赤堀時代の一番の思い出です。なかでも職場では体験することのない実験が面白かった。食品加工の授業で、果物の糖度を調べ、ジャムづくりをしたことは、いまでもよく覚えています。

現場と現場、現場と本社をつなぐのが、
私たちエリアマネージャーの仕事です。

 赤堀を卒業してすぐに愛知県岡崎市の企業に派遣されて、5年間勤めました。その後はずっと東京です。経験を積むに連れ、仕事の中身も変わり、いまでは大田区や港区の事業所6つを統括する、エリアマネージャーを任されています。
 ジャパンウェルネスは、複数の企業や事業所の食堂の運営を任されています。当然、企業によって規模もニーズも異なります。毎日のメニューの決定や人員シフトなどは各現場のマネージャーが中心になって行いますが、人事管理や労務管理といったマネジメント業務まで現場に委ねることはできません。また、各現場間での意見交換や、本社との意志疎通も必要です。そういったことをリードしたり仲介するのが、私たちエリアマネージャーの役割です。
 そう聞くと、いかにもサラリーマンのような仕事に思えるかもしれませんね。でも、私が毎日出勤するのはあくまで現場の社員食堂です。朝は7時前に入って、仕込みもするし、調理もします。お昼のピーク時には待ち時間を少なくするために、お客さまを誘導したりもします。
 いろんな現場でさまざまな仕事に携わることができて、経験に応じてステップアップできるのが、給食サービス会社の面白いところだと思います。

スタッフとのコミュニケーションの中に、
ライバルに負けないサービスのヒントがあります。

 各地にコンビニや弁当専門店がオープンして、買ってきた弁当を社内で食べる「内食」という言葉も生まれました。かつての社員食堂は、安くて早い分、少し味が落ちても許される存在でしたが、たくさんのライバルの出現で、そんな時代はもう終わりました。
 利用してくださる社員のみなさんのニーズはさまざまです。若い男性社員はボリュームを求めるけれど、女性社員にはおしゃれなメニューが人気です。私が担当するエリアでは、どこも、利用者の率直な意見を投函してもらう意見箱を設けています。
 社員食堂と言えども、バラエティーに富んだメニューは当たり前です。そしてそれは、私たち栄養士の腕の見せどころでもあるわけです。リーズナブルな価格で、健康的で、おいしいメニューを考えることは、とてもワクワクする仕事です。私自身、料理雑誌を見たり、レストランを食べ歩いたり、楽しく研究しています。
 また、同じ職場で働く栄養士や調理師にも、意見やアイデアを求めます。みんなが率直に意見交換できる環境は、日ごろの、スタッフとのコミュニケーションによって出来上がるのだと思います。ここのスタッフは、おそらく一般の外食産業よりも、みんな仲がいいのではないでしょうか。

企業と同じように土日は休み。
仕事と休日のメリハリがはっきりした職場です

 外食産業は、一般に、土・日、祝日は稼ぎ時です。そこに勤める人は、休日は避けて、交代で休みを取るのだと思います。その点、私たち社員食堂を預かる者の休日ははっきりしています。企業の休日が私たちの休日だからです。
 なかには食にまつわる仕事に就きたいけれど、不確定な休みに躊躇している人もいるのではないでしょうか。そんな人にはまさにピッタリの職場だと思います。また、ここは、配属される事業所によって、食に対するニーズの違いに気づくことのできる職場です。病院と企業の食事が違うのは当然ですが、企業であっても、職種によってこだわりが違ったりします。私の経験からいうと、営業などの外向的な職域の人よりも、エンジニアなどの専門職の人のほうが食にこだわりますね。
 そういうことがわかってくると、お客さまに喜んでもらえるメニューづくりにやりがいが見いだせて、自ずといろんな勉強をするようになり、さらに食への関心が増していきます。
 知れば知るほど面白くなっていく。それが食なのだと思います。毎日の生活に欠かせない食を仕事にすると、どういうわけか、人間のことがどんどん好きになっていくんです。

午後の休憩時間を使って調理師とのミーティング。現場とのコミュニケーションをとることが何よりも大切です。

午後の休憩時間を使って調理師とのミーティング。現場とのコミュニケーションをとることが何よりも大切です。

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