赤堀栄養専門学校長
赤堀 永子
最近、「食育」という言葉をよく耳にします。偏食による肥満、孤食による心の未発達、あるいは生活習慣病の低年齢化などの現実が明らかになり、食が、学校教育の新たな課題として認識されつつあるのだと思います。
20 世紀、敗戦による貧しさのどん底から世界有数の経済大国にまで成長する過程で、食もまた、大きく変わっていきました。いま、私たちは、季節を問わずに手に入るさまざまな食材や、手軽な加工・調理済み食品のなかで暮らしています。どれも忙しい毎日の生活を手助けしてくれるものばかりです。けれど、そんな便利な食品に囲まれすぎて、私たちは、本当の豊かさを見失いつつあるのかもしれません。
人はどんな食を口にしたときにおいしさを感じるのでしょうか。好みの味覚にマッチしたり、栄養に優れているだけで、食欲は満たされるのでしょうか。
食育は、学校よりもむしろ家庭でこそできる、さりげない教育だと私は考えています。難しいことではありません。日々の食事に手料理のひと品を加える。そのひと手間が、お腹だけでなく、心も満たしてくれるのです。わずかなひと手間は、どんな味付けにも優るエッセンスなのです。
子どもが大好きなおやつ、たまには家庭で作ってみてはいかがでしょうか。赤堀では、古くからお菓子づくりをカリキュラムに加え、おやつやデザート作りを指導してきました。昭和 32 年に、私の母であり、前校長であった全子が手がけた献立本『春夏秋冬 家庭料理』のなかにもたくさんのお菓子が紹介されています。春は「苺の泡雪」や「桜もち」、夏は「小倉水玉」「レモネード」、秋は「カレンズケーキ」「新栗のきんとん」、そして冬が「柚子まんじゅう」や「ホットケーキ」など、いまのように食材に恵まれていない時代でしたが、それだけに季節感にあふれ、工夫に満ちたお菓子ばかりです。
今回は本校の卒業生であり、教員として後進の指導にあたっている岩橋俊先生が、6品のお菓子を紹介いたします。愛情に満ちた手作りのおやつ、ときにはお子様もご一緒にチャレンジするのもいいでしょう。そんなひとときこそ、ことさら時間を設けなくてもできる、さりげない食育なのではないでしょうか。
岩橋 俊(いわはし しゅん)
専門調理師・製菓衛生師。琉球大学経済学部を卒業後、東京で会社勤めをするなかで一念発起。平成8年に赤堀栄養専門学校調理師科に入学し、調理師をめざす。入学当初から旺盛な好奇心と行動力に定評があり、在学中からイタリアンレストランでアルバイト修行。卒業後はフレンチレストランに勤務し、料理とデザートのバリエーションを増やす。赤堀では主に製菓・製パン実習、西洋料理実習を担当。「泡盛を活力に日々精進」がモットー。
包丁の使い方や下ごしらえといった基礎をはじめ、季節に合わせた和洋中のさまざまな料理の作り方,食卓をいっそう華やかに彩る盛り付けまで,お料理の幅を広げるさまざまな技術が楽しく身につきます。
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