高級レストランの敷居を高く感じるのは、かつて教わったテーブルマナーに則って振る舞わなければならないと思い込んでいるからではないでしょうか。学校などで教わるテーブルマナーは基本の型の習得が目的です。対して会食の目的は楽しむことにあります。左手にフォーク、右手にナイフといったカトラリの使い方にしても、お客様が使いやすいように使っていただいてかまわないのです。
フランス本国のレストランに行くとわかります。たとえば魚料理を食べるとき、多くのフランス人はフォークだけを使います。もちろん、テーブルにはフィッシュナイフもセットされています。でも、身の柔らかい魚はフォークで十分切れるし、かえってその方が食べやすいからです。
テーブルに用意された複数のナイフやフォークは、料理の順に従って、外側から使っていくようにセットされていることさえわかっていれば、使う・使わないはお客様次第。食べやすい方法で、おいしく召し上がっていただくのが一番です。
メニューを手渡されたら、よく見て、食材は何で、どのように調理されているのかを十分に理解してから注文しましょう。
まずはコース料理にするか、それとも一品ずつ選ぶアラカルトにするか。コースであっても、品数や料金が違ういくつかのパターンが用意されているケースや、何種類かの料理から好みの一品を選んでいただく場合もあります。フランス料理店のサービススタッフはメニュー選びのよき相談相手です。馴染みのない品書きだったり、選択に迷ったりするようなら、遠慮なく尋ねましょう。
アラカルトは一般にオードブル(前菜)、ポワソン(魚料理)、ヴィヤンド(肉料理)、そして、フロマージュ(チーズ)、デザートに分かれています。よくわからないときは「スパイスの効いた肉料理」とか、「クリーム仕立ての魚料理」など、食べたいイメージを伝えてください。食材や調理法の説明とともに、サービススタッフがアドバイスしてくれます。
ディナーにはたっぷり時間をかけるのがフランス流。料理とともに会話を楽しんでいます。会話は料理を何倍もおいしくする最上のエッセンスです。日本のフランス料理店でも、コース料理なら2時間程度はかかります。ここはフランス人に学んではどうでしょうか。料理やワイン、店内の装飾や雰囲気……見わたせば、話の種には困りません。
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